変形性膝関節症
変形性関節症は遺伝子素因を背景として、使いすぎ、体重負荷、外傷などをきっかけに、軟骨摩耗が生じ、それが進行して発症します。このため膝関節や股関節の頻度が高く、重症化するとADL(日常生活動作)障害が大きくなります。変形性膝関節症は、高齢者になるほど罹患率が高く、主な症状には膝の痛みと水がたまる事があります。
- 原因
- 股関節や膝関節で軟骨部分がすり減ってしまい、関節同士が直接ぶつかって痛みなどを発生させる疾患です。加齢や関節の使いすぎなどでおこりますが、初期段階であれば適切なリハビリテーションによる保存治療が可能です。
- 症状
- 主な症状は膝の痛みと水がたまることです。症状が進むと、膝の動きは制限され、膝が完全に伸びなくなり、脚変形が生じます。
初期症状としては、まず膝がこわばり、立ち上がる際や、歩き始めるときに膝に痛みが生じます。症状が進むと膝を動かしている間はずっと痛みが続き、階段がつらい、正座ができない、歩けないというように悪化していきます。
O脚体型の人がかかりやすいという傾向にあります。O脚の人は、もともと体重のかかる線が膝の関節の内側を通るため、軟骨が膝の内側からすり減りやすいためです。
- 治療
- 変形性膝関節症の治療法には、「保存療法」(手術によらない治療)と「手術療法」があります。
保存療法では、痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などを打ったりして治療します。
また、太ももや膝まわりの筋肉を鍛えて膝関節を支える力を強くすることが大切です。
さらに関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行なったり、膝を温めたりする物理療法(ホットパック、マイクロ波療法、停止右派療法など)を併せて行います。
足底板(靴の中敷き)や膝装具を作成して、治療の一助にすることもあります。支持装具(一本杖、松葉杖、歩行器など)は、痛みを伴う動作から関節を保護し、負担を軽くしてくれます。
次に、保存療法でも治らない場合、手術療法を検討します。手術療法には、関節鏡(内視鏡)手術(膝の中にカメラを入れて骨棘(骨のとげ)を処理する)、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正し、膝の内側にかかる負担を軽くする)、人工膝関節置換術(変形した部分を人工の部品で置き換える)などがあります。
半月板損傷
膝の半月板損傷は比較的多いスポーツ外傷の一つで、前十字靭帯損傷に合併することもよくあります。半月板には、軟骨にかかるストレスを減らす重要な役割があるため出来る限り温存する(残す)ことが重要です。
- 原因
- 原因として多く挙げられるのは、スポーツなどで激しい動きをしている方に多いということです。急なターンやストップなどで膝をひねったりすると、急激に強い力が加わり、半月板がその負荷に耐えきれず損傷につながります。また、加齢に伴い、膝の半月板のクッションがうまく機能しなくなり、半月板の損傷に繋がったりもします。
- 症状
- 半月板損傷の症状のひとつとして、膝を曲げたり伸ばしたりしにくくなることが挙げられます。膝を完全に曲げ切ることができなくなったり、伸ばし切ることも困難に感じ、自ら動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。
- 治療
- 実際の治療としては、運動療法や足底板、ヒアルロン酸の関節内注射などの保存療法か、関節鏡を用いての半月板切除術や修復術などの外科的治療が選択されます。